2013年8月から10月末まで、現代アートの社会実践で注目されるベネズエラの建築?芸術家 アレハンドロ?ハイエークを招聘し、新進芸術家育成事業【派生的な技術:アートとデザインの間 ~手工業からハイテクまで~】ワークショップが、東京藝術大学取手校地で開催されました。
ワークショップのタイトルにも掲げられている「派生的な技術」とは、発展途上の国々にある技術の派生、特徴的な内容と創造への適用、環境に応じた技術の可能性などを指し示し、ハイエークはそうしたものにこそ積極的な価値を見出そうとしています。
ハイエークは2002年以来「派生的な技術」をテーマとしたワークショップをラテンアメリカ圏7つの大学で行い、2013年に東京藝術大学での開催となりました。
ワークショップでは、ハイエークより「組み立てと製造の過程ワークショップ(T.FABs)」と呼ぶ作業方法論が提案されました。これは、建築物の基礎と なる(表層、覆い、舗装、構造)をそれぞれの独立した要素として捉え、現場での組立て、その使用性、メンテナンス、解体、運搬方法、基礎工事、地形、構築 ユニットのひとつひとつの機能性を研究するものです。まず初期段階では、与条件の板倉工法の解体と合成を紹介、次の第2段階では、工業的あるいは伝統的な 道具と次世代の道具を用いた縮小版プロトタイプの制作、最後の段階で、全体計画を熟考し、デザイン、製造、組立てを実際の原寸サイズで行いました。
今回、選抜された新進芸術家たちは、作業チームに分かれ、組み立て行程の作業責任を担い、新進芸術家間での討論、統合、結束して作業を行い、プロトタイプを予算と使用される複雑な素材に適応し、統合的に、多機能型オープン「パヴィリオン」の建設を実現しました。
また、8月23日のハイエークによるプレゼンテーションに続き、濃密なミーティングを繰り返しながら進めたパヴィリオンの制作と並行して、10月9日にハ イエークによるレクチャー、10月31日にはワークショップの成果発表とあわせて、ゲストを招聘し「国際フォーラム:現代アートにおける社会実践」が行わ れました(なお、2014年1月現在も実証期間としてパヴィリオンは展示されています)。このような複数のプログラムの実践を通して、「観衆」に、どのよ うな発見をもたらし、どのような反応を導き、どのような想像力を誘発して、創造的な場をつくるかを実験する試みとなりました。
ワークショップ参加者
招聘アーティスト | アレハンドロ?ハイエーク |
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新進芸術家 | 井上 美幸、入沢 拓、小林 香里、塩津 淳司、川久保ジョイ、宮川 和音 |
制作サポート?運営 | 取手共通工房 木材造形工房、金工工房、石材工房 工芸科ガラス工房?鍛金工房、絵画科壁画研究室、情報芸術センター、 建築科、先端芸術表現科 事業アシスタント(23名) |
以下のリンクより、パヴィリオンを360°撮影したVRページをご覧頂くことができます。
>> Pavilion “AIR ROOF and BEYOND” VR3
パノラマVR制作?撮影(最上部):君塚 和香 ? Waka Kimizuka